2013年9月7日土曜日

4人のラバ飼い LOS CUATRO MULEROS について

演奏した曲たちの紹介、その8です。

LOS CUATRO MULEROS

De los cuatro muleros
que van al agua,
el de la mula torda
me roba el alma.

De los cuatro muleros
que van al rio,
el de la mula torda
es mi mario.

De los cuatro muleros
que van al campo,
el de la mula torda,
moreno y alto.

A que buscas la lumbre
la calle arriba,
si de tu cara sale
la brasa viva

Esta lloviendo en el campo,
mamita mia mi amor se moja,
quien fuera un arbolito,
mamita mia lleno de hojas.


4人のラバ飼い

4人のラバ飼いの
水のほうへ行く4人のラバ飼いの
なかの一人、灰色のラバを連れた男が
( ああ、母さん!)
あたしの心を盗んでいった

4人のラバ飼いの
水のほうへ行く4人のラバ飼いの
なかの一人、灰色のラバを連れた男が
あたしの亭主だよ

4人のラバ飼いの
水のほうへ行く4人のラバ飼いの
なかの一人、灰色のラバを連れた男は
黒髪で、背が高いよ

どうしてあなたは灯りを求めて
道を下っているの?
まるで残り火みたいに
生き生きとした顔をしてるのに

雨が村に降っているよ
あの人がぬれてしまう
雨宿りの樹になれればいいのに
葉っぱをいっぱいにしげらせて



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ちゃんと読むと、時間と空間がよくわからない感じではあります。
女が、眺めてる男は本当に亭主なのか、女がそう思ってるだけなのか、
昼なのか夜なのか、昼だったり夜だったりするのか。

まあ、詩ですから、あいまいでいいのかもしれませんが。


第5連の詩はロルカさんの楽譜にもCDにも入ってなかったものですが、
カルメンさんが、「私はもっと詩を知ってるわ。」と付け足したものです。



2013年9月3日火曜日

セビリアの子守唄 NANA DE SEVILLA について

演奏した曲たちの紹介、その6です。



NANA DE SEVILLA

Este galapaguito
no tiene mare,
a, a, a, a,
lo pario una gitana,
lo echo a la calle,
a, a, a, a,
lo echo a la calle., si,
lo echo a la calle., no,
lo echo a la calle.
a, a, a, a,

Este nino chiquito
no tiene cuna,
a, a, a, a,
su padre es carpintero
y le hara una,
a, a, a, a,
y le hara una,si,
y le hara una,no,
y le hara una,
a, a, a, a,



セビリアの子守唄

このちいさな亀
(*赤ちゃんのこと。スペインの古い言い方)には
母親がいない
ジプシー女がこの子を産んだ
そして道にほったらかしにした

この小さな子には
ゆりかごが無い
彼の父親は大工だから
彼のためにひとつ作るだろう



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Nanaというのは某漫画のことではもちろんなく、スペインで子守唄のことのようです。

このあいだのライブのとき、この曲と、最後のNana de los Luceros と2曲やる予定のところに、
ゲスト参加のWilliamさんがもうひとつNanaという曲をもってきたので、「ナナばっかり」になるところでした。
まあ、時間の都合でやらなかったのですが…。

ともあれ、たぶんNanaという曲はたくさんあるのだろうと思います。日本に「~の子守唄」というのがいくつもあるように。



ジプシーっぽく、ということでライブではアコーディオンを使って演奏しました。
本当は客席のあいだを練り歩こうと思っていたのですが、段取りがばたばたしすぎてて、すっかり忘れていました。


2013年8月31日土曜日

タララ Tarara について

演奏した曲たちの紹介、その6です。

LA TARARA

La Tarara, si,
la tarara, no,
la Tarara, nina,
que la he visto yo.

Lleva la Tarara
un vestido verde
lleno de volantes
y de cascabeles.

Luce mi Tarara
sus colas de seda
sobre las retamas
y la hierbabuena.

Ay, Tarara loca.
Mueve, la cintura
para los muchachos
de las aceitunas


タララ

ああ、タララ
ああ、タララ
ああ、タララ、かわいい子
わたしは見ていたよ

わたしのタララ
緑色のふりふり
フラメンコドレスで
鈴をいっぱいつけている

わたしのタララ
ポニーテールを輝かせ
エニシダと
ミントの野原にいる

ああ、タララ 狂ったように
腰ふり踊る
オリーブを摘む
少年たちに


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この曲、歌詞は他愛も無い感じなのに、メロディーがなんか暗く悲しげなので、ちょっと戸惑うのです。
最初聞いたとき、ロシアの民謡かと思いました(偏見かなあ)。

下記の楽譜は、私がコードアレンジして簡単に書き換えたものです。
(本番では別のコードアレンジにしたので、実際この進行で演奏してないですが。)


あと、この少女がどれくらいの年齢か、とかも気になります。
最初ほんの子供かと思ってたのですが…、もしかしたら結構色気づいてきている年頃なのか?

そして、この少女の後の悲しい運命を想像するのは…、やっぱり考えすぎですかね。

2013年8月27日火曜日

ちいさな巡礼者たち Los Peregrinitos について

演奏した曲たちの紹介、ええと5つ目かな…。
 

LOS PEREGRINITOS

Hacia Roma caminan
dos peregrinitos,
a que los case el Papa,mamita,
porque son primos,niña bonita,
porque son primos,niña.

Sombrerito de hule
lleva el mozuelo
y la peregrinita,mamita,
de terciopelo,niña bonita,
de terciopelo,niña.

Al pasar por el puente
de la Victoria,
tropezó la madrina,mamita,
cayó la novia,niña bonita,
cayó la novia,niña.

Han llegado a Palacio,
suben arriba,
y en la sala del Papamamita,
los desaniman,niña bonita,
los desaniman,niña.

Les ha preguntado el Papa
cómo se llaman.
El le dice que Pedromamita,
y ella que Ana,niña bonita,
y ella que Ana,niña.

Le ha preguntado el Papa
que que' edad tienen.
Ella dice que quince,mamita,
y él diecisiete,niña bonita,
y él diecisiete,niña.

Le ha preguntado el Papa
de dónde eran.
Ella dice de Cabra,mamita,
y él de Antequera,niña bonita,
y él de Antequera,niña.

Le ha preguntado el Papa
que si han pecado.
El le dice que un beso,mamita,
que le había dado,niña bonita,
que le había dado,niña.

Y la peregrinita,
que es vergonzosa,
se le ha puesto la cara,mamita,
como una rosa,niña bonita,
como una rosa,niña.

Y ha respondido el Papa
desde su cuarto:
?Quie'n fuera peregrino,mamita,
para otro tanto,niña bonita,
para otro tanto,niña!

Las campanas de Roma
ya repicaron
porque los peregrinos,mamita,
ya se casaron,niña bonita,
ya se casaron,niña.


ちいさな巡礼者たち

ローマへの道を
歩いてゆく2人の巡礼者。
ローマ法王に結婚を許してもらいに
なぜなら彼らはいとこ同士だから

油布の帽子を
若者はかぶっている
ビロードの帽子を
娘はかぶっている

彼らが『勝利の橋』を
渡っているとき
名づけの母親はうろたえ
花嫁は崩折れていた

彼らは宮殿に着いた
階段を上った
そして法王の広間にて
彼らは試された

法王は彼らに
名前を尋ねる
彼はペドロだと言う
彼女はアナだと言う

法王は彼らに
年齢を尋ねる
彼女は15歳だと言う
彼は17歳だと言う

法王は彼らに
どこから来たか尋ねる
彼女はカブラだと言う
彼はアンテケラだと言う

法王は彼らに
罪を犯したかと尋ねる
彼は、彼女にキスをした
と言う

するとちいさな巡礼の娘は
恥ずかしがりやなので
真っ赤になる
バラの花みたいに

そして法王は彼の部屋から
返答をする
「こんな巡礼がいるなんて!
 わしも巡礼になりたいよ」

ローマの鐘々は
すでに鳴りはじめている
なぜなら巡礼者たちが
結婚したのだから


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*マミータ、とかボニータ、とかは訳出してません。掛け声のようなものだと思うので。
*題名のPeregrinitosですが、これCDにはPelegrinitosと表記してあって、あとネット上で見つけた譜面の表記もPelegrinitosだったのですが、カルメンさんによるとPeregrinitosが正しいようで、よく分からないです。ただの誤植なのか?、それとも何か由来があってのことなのか?。ちなみに英語でのPilgrimに該当する言葉 Peregrinosの変化形のようです。

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なんだか不思議にもやもやする曲です
何がもやもやするかというと、それはいとこ同士、だからでしょうか。

いとこ婚が社会的にどうか、というのは時代と地域によっていろいろだと思うのですが、さて当時のスペインではどうだったのか。 今のスペインでは、「まあ、あまり普通じゃないわね」とカルメンさんが言ってたので、たぶん日本と同じ感覚なのだろうと思います。
日本でもめったにないですよね。私も個人的には、両親がいとこ同士という人を1人知っているだけです。

そして、いとこ婚を許してもらいに、法王さまの所に行くという。
何というか、そのシチュエーションだけで、イメージは日本から遠く離れて飛んでゆきます。


なんだか、もやもやして、だからこそ面白いと思うのです。



2013年8月24日土曜日

18世紀のセビーリャナス SEVILLANAS DEL SIGLO ⅩⅧ について

演奏した曲たちの紹介。その4です。

やたらビバ・セビリア!と歌ってますが、この場合のセビリアは地名としてのセビリアというより、セビリア地方の歌や踊りやなんかを指すそうです。



SEVILLANAS DEL SIGLO ⅩⅧ

¡Viva Sevilla!
Llevan las sevillanas
en la mantilla
un letrero que dice:
¡Viva Sevilla!

¡Viva Triana!
¡Vivan los trianeros,
los de Triana!
¡Vivan los sevillanos
y sevillanas!

Lo traigo andado:
la Macarena y todo
lo traigo andado;
la Macarena y todo
lo traigo andado.

Lo traigo andado:
cara como la tuya
no la he encontrado;
la Macarena y todo
lo traigo andado.

¡Qué bien pareces!
Ay río de Sevilla,
¡qué bien pareces!
Ay río de Sevilla,
¡qué bien pareces!

¡Qué bien pareces!
lleno de velas blances
y ramas verdes,
Ay río de Sevilla,
¡qué bien pareces!

¡Viva Sevilla!
¡Viva Sevilla!



18世紀のセビリャーナス

ビバ セビーリャ!
セビーリャ娘たちはみんな
マンティラを羽織ってる
それはこういうことさ
ビバ セビーリャ!

ビバ トリアナ!
ビバ トリアナの人たち!
トリアナの人たち!
ビバ セビーリャ男たち
それにセビーリャ女たち!

いろんな所に歩いて行ったよ
マカレナの教会とか、すべての所に
いろんな所に行ったよ
マカレナの教会とか、すべての所に
いろんな所に行ったよ

いろんな所に行ったよ
けど、見たことが無い
あなたみたいな人は
マカレナの教会とか、すべての所
すべての所に行ったよ

なんて美しいんだろう!
ああ、セビーリャの川は
なんて美しいんだろう!
ああ、セビーリャの川は
なんて美しいんだろう!

なんて美しいんだろう!
ロウソクみたいに白いヨットの帆でいっぱい
緑の繁る頃
なんて美しいんだろう!

ビバ セビーリャ!
ビバ セビーリャ!


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おおらかで、あんまり裏がないです。

セビリアの川とか、マカレナ教会とか、検索してみると何だか 行ってみたくなりますね。

この曲、実は練習でかなり苦労しました。
簡単な構造なんですけど、簡単だからってワンコードで即興を広げようとすると、
「それじゃ踊れないわ」とカルメンさんに言われてしまう。
どうも、曲の構造のフォーマットは守らんといかんらしい。
となるとテンションと代理コードでふくらましながら、守るところは守って、
かつ元曲の雰囲気は残そう、というバランスのとりかたが難しかったのです。



2013年8月21日水曜日

ライブ無事終了


18日のライブ、ばたばたと準備して、どうなることかと思っていましたが、無事終了しました。
来てくださった方々、ありがとうございました。

また、ゲスト参加してくれたWilliamさん、ばやんさん、それに受付をしてくれたリエさん、録音してくれた松永さん、ティオペペのマヌエルさんも、ありがとうございました。お疲れ様でした。

ばたばたしてたので写真撮ってないです。料理とかも美味しそうだったのに。撮っとけばよかった。
誰か撮ってる人がいたら写真くださるとうれしいです。

今回カルメンさんと練習、本番を経て思ったのは、本番でのテンションの上がり方がすごい、ということでしょうか。
ホップ、ステップ、ジャンプではなく、小ホップ、小ホップ、いきなり大ジャンプ、という感じ。
予想してたはずなのに予想よりワイルドな現場にあわあわしてしまいました。

まあ、ともあれ、おおむねお客さんに喜んでもらえたようで、何よりです。

後ろの方の音が聞き取りづらかったなどの問題点を指摘されましたが、対応できるところは、機会があれば、直してゆきたいと思います。



あとで気がついたのですが、ライブ翌日の8月19日はガルシア・ロルカさんの命日だったようです。
(彼は38歳でファランヘ党によって銃殺されています。)
何かのご縁、というほどの一致ではないですが、ちょっと彼の人生に思いをはせました。
そのうち、彼についてもうすこし書きたいと思います。

演奏した曲たちについても、ぼちぼちと、まだつづってゆきたいと思ってますので、時々ちらとこのブログを見ていただけたら幸いです。

2013年8月15日木曜日

ハエンのムーア娘たち Las Morillas De Jaén について

演奏する曲たちの紹介第3弾です。


LAS MORILLAS DE JAÉN

Tres morillas me enamoran
en Jaén:
Axa y Fátima y Marién.
Tres morillas tan garridas
iban a cogar olivas,
en Jaén:
Axa y Fátima y Marién.
Y hallábanlas cogidas
y tornaban desmaidas
y las colores perdidas
en Jaén:
Axa y Fátima y Marien.

Tres morillas tan lozanas,
tres morillas tan lozanas
iban a coger manzanas
a Jaén:
Axa y Fátima y Marien
Díjeles ─¿Quién sois, señoras,
de mi vida robadoras?
─ Cristianas que éramos moras
en Jaén
Axa y Fátima y Marien.
Tres morillas me enamoran
en Jaén:
Axa y Fátima y Marién.



ハエンのムーア娘たち  ~15世紀の民謡

3人のちいさなムーア娘たちが私を誘惑した
ハエンで
アクサ、ファティマ、そしてマリエン
3人の可愛いムーア娘たちは
オリーブの実を摘みに行こうとしていたが
もう摘まれていることに気がついた
アクサ、ファティマ、そしてマリエン
もう摘まれていることに気がついた
彼女たちは泣きながら引き返した
青ざめた顔をして
ハエンで
アクサ、ファティマ、そしてマリエン

3人の元気なムーア娘たちは
3人の元気なムーア娘たちは
リンゴの実を摘みにいこうとしていた
ハエンで
アクサ、ファティマ、そしてマリエン
私は彼女たちに言った「君たちは誰?、お嬢さんたち
私から命を奪うの?」
「わたしたち、ハエンのキリスト教徒よ。
前はムーア人だったけど」
アクサ、ファティマ、そしてマリエン
3人のちいさなムーア娘たちが私を誘惑した
ハエンで
アクサ、ファティマ、そしてマリエン

 (*ハエン…アンダルシアの地名 ムーア人…北アフリカのイスラム人)



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この詩は何かちょっと謎が多いです。

ただのナンパ歌ととることも出来なくはないのですけど、ディテールが結構シビアなものを連想させるので。
あと、メロディーが何だかすごく切ない感じです。

何でオリーブは摘まれていたのか。
アクサ、ファティマ、マリエンって誰なのか
第2連で「私から命を奪う」と訳した所、これはもっと単純にホレた、という意味にとるべきか、あるいは…?


夕顔でスペインを回ったとき、空いた時間でアルハンブラ宮殿の見物に行きました。
アルハンブラ宮殿がどういうものか全然知らなかったのですが、建物じゅう何だかやたら細かい模様がいっぱいありました。
「何だこれは、この空いたスペースをすべて飾り模様で埋め尽くそうとする妙な情熱は。」
と思っていたら、それはイスラム美術だ、と説明を受けました。
何でイスラム美術が?、と思ったら、つまりこのあたりは、昔イスラムだったのが、キリスト教に取って代わられた、だから両方の建築様式が見られるのだ。ということでした。

ほぼ無宗教である現代日本人の私にはあまりよく分からないのですが、しかしおそらく、宗教を変えるよう迫られたり、追い出されたりした民族の葛藤のようなものがあるのでは、と憶測してしまいます。

そうなると、オリーブはイスラムの、リンゴはキリスト教の暗喩かなあ、とか思えてきて、さらに考えてしまうのです。